社長インタビュー 株式会社 渡辺住研  社長 渡辺 毅人 真の人間関係は、壮絶な想いと向き合ってこそ、できるもの

「出会い」は10年、「ご縁」は30年

当社の経営の基本理念は「ご縁とおかげさま」というものです。これは20年ほど前、先代の時代から使われているものなのですが、僕もこのテーマが気に入っているので継続して使っています。僕は人との「縁」というのは、とても深い意味を持っているものだと思います。よく簡単に「これって出会いだね」なんていう人もいますが、僕は「出会い」は最低10年、「縁」では30年つきあえて初めていえることだと思っています。

人と人との関係は、そう単純なものではありません。もちろんぶつかりあうこともあるし、いがみ合うこともあります。けれど、それを越える努力をするからこそ縁は深めてけるし、信頼関係も育まれるわけです。また「おかげさまで」とう言葉も、素直にいえるようになるわけです。

1回きりの100万円より、何十年後かの200万円

ではこれを経営的な側面から見てみましょう。私たちがおつき合いさせて頂くのは、文字どおりお客さまです。もちろんお客さまと「ぶつかりあう」などは論外ですが、いろいろな問題をともに考え乗り越えていくという点では、人間関係と同じです。つまりご縁を深めていくことができるわけです。

もし仮に、お客さまとの関係が100万円の取引き1回きりだったとします。しかし、毎日100円という数字を何十年にも渡って積み重ねた場合には、それが200万円になることもあるわけです。つまり企業体としては、目先の事にとらわれず、10年後、20年後先のことを考えながら、ビジネスを行うことがより堅実だといえるのです。

社員の夢を、実際に叶えられる会社に

企業が前に進んでいくためには、目標が必要になります。そして目標が決まったら、それを達成させる期限を決める必要があります。僕は、その目標を「社員から10人社長を創る」こととし、その達成の期限を「10年後」としました。

これは最近の若者の独立開業への意欲を、つまり夢の実現をサポートしたいと思ったことと、より経営感覚を持った人材を育成したいとの想いから始めたものです。開業にあたっては、いまある事業部のどれかを分社独立させ社長に就任してもらう意向です。事業内容も、一定の要件さえ満たせば、社長の考えを尊重しどんどん推し進めてもらうつもりです。

とはいえ、こうしたベンチャー志向の人材ばかりを求めるわけではありません。将来の選択肢のひとつとして、グループ企業への社長就任もあると思ってください。一応目標達成までは、あと8年を残すところとなりました。現在社内には7〜8人ほど社長志望者がおり、多分このなかから社長が生まれることになると思います。

本音で語り、喜怒哀楽を表現しよう

私が最近の若者に求めることは、もっと「喜怒哀楽」の表現をきっちりと行えるようになって欲しいということです。みなさんは、これまで一体どれだけ「本音」で人と話をしてきたでしょう。本音というのは、往々にして激しいものです。そして、その表現も自然と大きくなります。大声で怒鳴ったり、または泣き叫んだり。しかし、私は真の人間関係とは、そうした壮絶な想いと向き合うことで出来上がるものだと思っているのです。

よく簡単に、コミュニケーション能力のある人、などといいますが、実はこの修得には相当の苦労や苦痛が伴います。渡辺住研は、こうした本音での関わりあいを重視する、とてもアナログな会社です。それこそ時代に逆行するほど。しかしこうした純粋な感情のやり取りができる風土、そしてそこで培われた人間関係こそが、私は最も強いものだと信じています。

最後に、学生のみなさんには、目先のことにとらわれず、先々のことを考えて会社を選んで頂きたいと思います。私のこれまでの失敗も、すべて目先のことにとらわれてのことでした(笑)。目先のことにとらわれない。これはいわば王道です。どうか、みなさん王道を歩んでください。